2010年11月04日

「生き方の選択」

 当院で、臨地実習を受けている大学のひとつである「広島文化学園大学」の公開講座に参加してきました。
 最初に看護学部吹奏楽部そして、クライムアーツというバンドの演奏を聴くことで、日常の課題に追われた自分の心をリセットすることができました。演奏のすはらしさはもちろんですが、学生さんの日ごろ学校での学習、そして実習など看護大学生のハードな生活を垣間見ているだけに、真剣な眼差しで演奏している姿とその音色からたくさんの感動をいただきました。
 公開講座のメインは日野原重明先生の「生き方の選択」についての講演でした。日野原先生は数え年で100歳を迎えられたそうです。先生は、約1時間半ずっと立ち、歩き、時にはステップを踏みお話をしてくださいました。
 先生は、100歳を迎える今、夢がありそれを実現するため、10年先に焦点をあて精力的に活動されていることを紹介してくださいました。そして、勇気を持って生きることの大切さ。人との出会いが生き方の選択にも大きく影響すること。癒しの力などたくさんのことを私たちに伝えてくださいました。
 最後に、会場からの質問で「日野原先生の生きがいって何ですか?」の問いに「世界平和をめざすこと。憲法9条を守り本当の意味で日本は、平和のリーダー国として手本にならないといけないこと。そういう日本をつくることが私の生きがいです」と締めくくられました。
 日野原先生のお話を聴き、自分の生き方、仕事の仕方など振り返り考える機会となりました。そして、共立病院看護部の方針のひとつである「五感を生かした看護技術を通じ、看護の力を発揮する」ことをもっともっと大切にしていきたいと感じることができました。
 2010年11月3日文化の日は、「生き方の選択」を考えるとても良い一日になりました。生き方の選択
                                 
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2007年12月04日

マンモグラフィー、エコー併用乳癌検診について

広島共立病院 院長 青木克明

 広島県の女性で平成15年に乳がんになった方は1070人、がんの中では最多です。亡くなった方は約200人、30才から50才代では第1位です。乳がん検診は「30才以上、触診のみ」から「40才以上、隔年にマンモグラフィーと触診」に変わっています。その結果乳がん発見率は0,14%から0,27%になり、早期癌の割合も50%から70%に上昇しました。しかし2005年の検診受診率は17,6%。欧米諸国が検診受診率を70-80%に高めて乳がん死亡率を低下させているのとは対照的です。
 安佐地区では祇園の野村病院さんと当院が乳がん検診実施医療機関として登録されています。
 マンモグラフィーは腫瘤像、石灰化像から判定をします。40才代で乳腺が豊富な方や石灰化を伴わない小さな腫瘤は乳腺エコーのほうが乳がんを見つけやすいので両者を併用することによって、発見率を上げることが出来ます。
 当院の乳がん検診は触診と同時に乳腺エコーを実施して検診の精度を高めるよう努めています。また、当院は乳がん検診の精密検査実施でもあり、乳がんの疑いのある腫瘤像を認めた場合は引き続いてエコーガイド下に穿刺細胞診を行って確定診断をつけております。
 増加の一途をたどっている乳がんを早期に発見し死亡率低下をめざしたいと思いますので乳がん検診のご活用をお願いいたします。
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2007年11月28日

アルコール依存症との付き合い方Bアルコール問題ネットワークの重要性

広島共立病院消化器内科医長   西原 一樹

「断酒会」という強力な武器を得て、初めて内科医でもアルコール依存症との付き合いができるようになりました

 依存症が進行して、精神破壊や家庭崩壊に至る前に、何とか救いたい、というのが内科医にも与えられた使命だと思っています。
 そのための手段としては、断酒会の協力を得ることが不可欠です。そして、それは、簡単に出来ます。
 しかし、実際には断酒会への患者紹介は、そのほとんどがアルコール専門病院からで、保健師からの紹介などもあるが多くは無く、ましてや内科医からの直接紹介はほとんどない、というのが現状とのことです。
 
 一方で、相変わらず断酒出来ずに過ごす患者も多くいます。
 しかし、その人たちが、依存症が進行して堕ちていかないように見守ることと、適切なタイミングでの専門病院への紹介を見極めていくことは内科医にも出来るはずです。
そのためにも、

精神科のアルコール専門病院の協力を得ることは不可欠で、内科と精神科とのネットワークを広げて行くことが必要です。
posted by スタッフ at 09:03| 医療トピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月19日

アルコール依存症との付き合い方 A➁当院でのアルコール依存症患者への対応

広島共立病院消化器内科医長   西原 一樹

V、当院でのアルコール依存症患者への対応
@アルコール多飲による肝炎・膵炎の増悪で辛くて入院を希望した場合、初めての入院ならば、断酒治療への参加を義務付けて 積極的に入院を勧めます
 「アルコールで失敗した、どうにかしなくては」と思っている時が一番の絶好機
今の状態は、全てアルコールによって起こっていることを認識してもらいます

AKAST(久里浜式依存症テスト)を使って、依存症の程度を確認していく。
 「酒は飲むが依存症ではない」と思っている患者さんを客観的に説得する良い指標です。ここで、自分がアルコール依存症だと認識してもらうことが必要です。
 依存症は、精神病であり、決して、個人の意思だけでは克服できないことを説明します。多くの依存症患者さんは、断酒できないのは、「自分の意志が弱いのがいけない」と錯覚しています。家族は、さらに、「患者自身の努力不足が原因」と決め付けています。しかしそれは病気がさせていたということを理解してもらいます。

B入院中に、地域の断酒会の例会に家族と共に参加してもらう
 入院期間中は週1回参加を継続してもらい、退院後の継続参加を目指します。
 参加者のほとんどが、「いい勉強になった。予想とは違ったところだった。」と、好意的な感想を話しています。実際に参加することで、初めて、そこへの先入観や偏見を拭い去ってもらえます。また、今後、依存症が悪化したときにはひとつの相談場所もなれます。

C「断酒のための3つの原則」を説明する
1、シアナマイドを毎朝家族の見ている前で飲む。――家族との協同
 2、定期的に病院へ通院して、採血チェックを受ける。――医療者との協同
 3、断酒会へ参加する。――患者相互の協同
 
特に、依存症に対しての専門的な治療は、断酒会に参加することしかないことを強調します。

D今後の入院制限を、患者・家族に了解してもらう
  退院後に、再びアルコールによる入院が必要になった場合は、当院への入院は制限しアルコール専門病院への紹介入院とする方針であることを了解してもらいます。
 内科で出来る断酒治療の限界を越えたことを示すものであり、より専門的な治療が必要な状態になっているためだからです。アルコール専門病院の紹介の絶好の機会を逃さないようにします。

Eアルコール専門病院への紹介の機会を常に追求する
  依存症の状態を見ながら、出来るだけ早い時期に精神科の専門病院への紹介をすることが効果的であることには変わりありません。その機会を逃さないように常に追求する姿勢が必要です。


W、依存症治療の困難性
 しかし、実際にはこれだけで依存症治療が上手くいくわけではありません。
1、実際の治療成績  ――現在のフォロー患者の実際――
   外来でのアルコール依存症登録・・49例
   入院歴あり・・・38例
   専門病院への入院歴あり・・・4例
   断酒会紹介歴あり・・・30例(うち断酒会継続5例)
   断酒継続・・・20例(うち断酒会参加なし4例)

2、断酒会への定着率
 1年間に30人程度の断酒例会紹介を行います。そのうち、断酒会への新入会は3人程度。定着率は1割前後、現在の断酒ふたば会参加者のうち当院からの紹介は18人です。

 断酒会にも行ったことはあるが、継続参加は拒否し、断酒も出来ないが、以前のように大量飲酒もせずに、肝機能は悪いままで、外来に通院継続している患者が多くを占めるのが現状です。
 その患者さんをどうやって断酒に結び付けていくかが課題となっています。

3、依存症者家族の抱える問題への対応
  依存症者の家族は、いろいろな形での家族崩壊をきたしています。
   ・夫婦の離婚危機
   ・妻の共依存傾向
   ・子供たちの成長時の精神的ストレスによる問題(AC)など
  これらの問題は、断酒を継続しただけではすぐには解決できません。ワーカーや断酒会の家族会員の援助が必要です。


次回はアルコール問題ネットワークの重要性について紹介します
posted by スタッフ at 18:41| 医療トピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月14日

アルコール依存症との付き合い方 @内科医としてのアルコール依存症への関わり

広島共立病院消化器内科医長   西原 一樹

アルコール依存症とその治療について、そして断酒会との協力・共同の重要性について、3回シリーズでお届けします。

T、内科医にとってのアルコール依存症とは 
「酒の飲める体にしてあげるだけの治療をしていませんか?」
 ・アルコール依存症者に禁酒をいくら指導しても、一向に効果がありません。
 ・アルコール性慢性肝炎とだけ診断して、漫然と治療をしていませんか?
 ・断酒ではなく、節酒を勧めるだけにしていませんか?
 ・飲む飲まないは、患者が決めること?自己責任だと転嫁していませんか?
 ・依存症は精神科の病気だから、精神科に任せるしかない?

 内科医にとっては、依存症はどう対処するべきか解らない厄介な病気です。簡単な処方箋が無いので、「依存症」と診断をつけることを避けているのです。しかし「依存症」と診断し、断酒治療をしない限りは、決して解決は出来ません。
 
 アルコール依存症は内科的治療だけでは、克服できない病気です。まずは内科医の無力さを認識することから、依存症との付き合いが始まります。
 アルコール依存症であることを患者さん本人に認めて頂くことが治療の第一歩となります。依存症と認めるためには、患者さんはかなりの決意が必要で、医師もかなりの労力が必要となります。

 アルコール問題患者は、まず内科に受診します。最初から精神科に受診することはほとんどありません。また、精神科に紹介をしようにも、患者の了解を得ることに難渋します。アルコール問題を解決するためには、内科医師の役割は非常に重要です。


U、「断酒会」との出会い 
1、私と断酒会との出会い ―ある女性患者の断酒会参加から―
 アルコール性肝炎増悪で入院した患者が、退院後、知人から地域の断酒会に参加を勧められ、その後入会して頑張っていました。外来診察時に患者が断酒会の実際を報告してくれました。その患者は、「疲れた、大変だ」と言いながら、生き生きと参加していました。そして、断酒継続も出来ていました。
 3ヵ月後頃から、断酒会の意義を私に教えてくれ始めました。「会に参加して、経験談を話すだけの繰り返しなのだが、それを続けることによって、だんだんと話す内容が変わっていく。どんな話し方をしているかで、その人がどれだけ断酒を克服できているかがすぐにわかる。」
 それまで、断酒会は、経験者が集まって、励ましあうことでの断酒を継続している、という程度の認識しかしていなかった私には、断酒会の継続が、きちんとした精神療法の一環であることをそのとき初めて実感させられました。

2、断酒会幹部からの連携のお誘い
 その後、断酒会の幹部が、病院を訪問してくださり、連携のお誘いを受けました。
 「アルコールの問題で悩んでいる人は、程度を問わず紹介してもらってかまわない。」
 「新しい人の話が聞けるのは、自分たちにとっても振り返りになり、良い勉強になる」
 このことを機会に、その後、アルコール問題患者の断酒会への紹介を積極的に行うようになりました。
 実際に、スタッフと共に断酒会にも参加し、依存症への理解を深める場にもなりました。

 次回は当院のアルコール依存症への取組みを紹介します


「断酒会」の意義
@、断酒の経験者から、克服するための方法を聞く
A、同じ悩みを持った経験者の中でこそ、自分の弱さや悩みを打ち明けることができる
B、継続することで、自分の振り返りをできるようになり、依存症になって行った原因を自己分析できるようになる。(ここまで出来て初めて、精神療法と言えるかも)
C、家族が、どのように患者と接したらよいのかを理解できる。(家庭崩壊を防ぐためには家族だけでも断酒会に参加することは、意義あること)
D、地域の中に、断酒を続けることを評価してくれる仲間がいることは重要(一人では依存症は克服できない)
posted by スタッフ at 14:37| 医療トピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする