厚生労働白書平成19年度版を読んでみました。舛添大臣は「生活習慣病予防や長期入院の是正などにより、国民のQOLの維持・向上を確保しつつ、計画的に医療費の適正化をすすめる」とのべています。裏表紙にはメタボリックシンドロームと判定された人が「運動と食事でバランスよく、無理なく内臓脂肪を減らすため」の表が印刷されています。
2004年度の死因は悪性新生物が31.1% 心臓病、脳血管疾患などその他の生活習慣病が29.8%ですが、かかった医療費は悪性新生物が2.6兆円%なのに対して高血圧、糖尿病などの生活習慣病は7.8兆円と約3倍です。不適切な食生活、運動不足から糖尿病、高血圧、高脂血症を発症し、心筋梗塞や脳卒中に重症化して、最後は要介護状態になり、医療費を増加させているので、生活習慣の改善によって老人医療費を適正化できるとしています。
1人当たりの老人医療費と様々な項目との相関が類似した都道府県を10のグループにわけています。1人当たりの老人医療費が高いのは北海道、福岡、長崎、大阪、広島などで、これらは病床数が多い、平均在院日数が長い、受療率が高い、健診受診率が低い、高齢者就業率が低い傾向にあります。一方、1人当たりの老人医療費が低いのは山形、新潟、山梨、長野、岩手、などでこれらは、病床数は多くない、平均在院日数は短い、受療率は低い、健診受診率が高い、高齢者就業率が高い、在宅死亡が多いといった特色があり、医療費適正化のモデルを提供しているとしています。
メタボリックシンドロームリスク保有者の割合は沖縄が男女とも1位ですが、石川、京都グループは老人医療費が高いにもかかわらずメタボの割合は男女とも最下位です。広島、大阪グループは老人医療費は高いのですが、メタボの割合は男女とも10グループ中8位です。メタボ退治が医療費削減に結びつくのか疑問です。
来年度から特定健診・特定保健指導が始まります。医療保険者に健診の実施が義務づけられ、後期高齢者支援金の加算・減算が行われます。対象者は40から74歳の医療保険加入者5600万人。保健指導の対象となるのはその34%に当たる1960万人とされています。しかし、実施の体制は進んでいません。健診データーの電子化、保健指導の煩雑さなどがネックとなっています。広島県医師会では健診については受入窓口となって会員を援助するが、保健指導についてはノータッチとしています。保健指導は電話やメイルでもよいため、在京の業者が管理栄養士を多量に採用して全国の健診施設と契約して事業をすすめようとしているとの話も聴きます。
メタボリックシンドロームの原因としては、長時間労働による不適切な食生活、運動環境の不備などもあげられます。長時間労働、非正規労働の削減といった根本的な労働条件改善、遊歩道や温水プールなど運動環境の整備、禁煙推進などをあわせて行わないとメタボ退治の成果は上がらないのではないでしょうか。
当院は「地域まるごと健康づくり」をかかげる医療生協の病院として保健活動に力を注いできました。政府管掌健康保険の指定健診機関として健診を実施してきており、保健指導は「医療生協の健康習慣」を実践してきております。こうした実績を生かして来年からの特定健診・保健指導に対応できるよう、対策チームをつくり、担当の保健師、管理栄養士を新たに配置して準備を進めています。


